アル中病棟

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吾妻ひでおイースト・プレス
☆☆☆
アルコール依存症になり、日常生活が普通に送れなくなった作者が家族によって強制的にアルコール依存症の治療を専門とする病院に入院させられ、そこで経験したことがらを漫画で紹介する作品です。テレビでよくある、


「行ってみたら○○だった」


なんて企画のアル中病棟版だと考えれば間違いありません。


文章だけ読んでいると暗く、重い話しなのですが、吾妻さんの描く優しくも厳しいナースたちや、背景に描かれる女子高生たちが可愛らしいので深刻にならずに読むことが出来ます。


吾妻さんが入院当初、暴れたときに注射を打たれて意識不明になるシーンがあるのですが、私がうつ病が一番酷かったときに入院先の病院で打たれた注射と効果がそっくりで、


「あっ、同じだ!」


なんて親近感をおぼえました。


私がいた精神科の病棟では大部屋でも、うち解けて話しをするなんてことはありませんでしたが、作品中のアル中病棟では濃密な人間関係が営まれ、それが治療方法の紹介とともに作品の重要なテーマになっています。


私は一人でお酒を飲んで美味しいと感じないので、アルコール依存症になりませんでしたが、吾妻さんを苦しめた不安や孤独には私も同様に苦しめられているので、作中に登場するアル中患者たちを、生きにくいこの世をなんとか生きていく同士のように感じながら読みました。


なかなか一般の人が足を踏み入れることのない場所を紹介する漫画なので、私は貴重な漫画だと思います。この感想を読んで興味を持たれた方はぜひ手に取って、強烈な個性のアル中患者たちと本の中で出会って下さい。