うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

漁港の肉子ちゃん

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西加奈子幻冬舎
☆☆☆
舞台は日本海に面した北陸の寂れた漁港。
本当の名前は「菊子」なんだけども、とっても太っているから「肉子ちゃん」とみんなから呼ばれている女性と肉子ちゃんの小学校5年生の娘、貴久子ちゃんの身の回りで起こるありふれた出来事を貴久子ちゃんの目線で綴った物語です。

 

肉子ちゃんは10代のころ家庭崩壊を経験し、生きていくために一人、流れ着いた大阪でホステスをして暮らしていました。
肉子ちゃんは、まじめで優しい男の人から好意を寄せられることもあったのですが、肉子ちゃんはダメな男を好きになってしまうため、たくさんの男に騙されて、38歳の現在は北陸の寂れた漁港で娘と二人で暮らしています。

 

そんな肉子ちゃんですが性格に暗いところが全くなく、いつも朗らかで明るく、楽天的な性格です。人から言われたことは全部信じてしまいますし、人を疑うなんてことはこれっぽっちもしません。そのため、周囲の人から「ちょっと足りないんじゃないか」と思われることもありますが、憎めないキャラクターが幸いして閉鎖的な地方の町にとけ込んで暮らすことができています。

 

貴久子ちゃんは肉子ちゃんとはちっとも似ていない可愛らしい容姿をもった女の子です。クラスの女の子たちはいくつかのグループを作って、いつも一緒に行動しているのですが、そんな女子のベタベタした関係が少し苦手。初潮を迎えた子がいたり、ブラジャーを着けるようになった子がいたりして、「大人になりたくないな」と思ったり、「早く大人になりたい」と思ったり、複雑な年齢です。

 

二人は世間的に見れば不幸な家庭に分類されるんでしょうが、肉子ちゃんの太陽のようなキャラクターがそんなことを少しも感じさせません。肉子ちゃんのあらゆるものを受け入れる圧倒的な包容力に感動です。