うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

空より高く

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重松清中央公論新社
☆☆☆
3年後の廃校が決まっている東玉川高校、通称トンタマに入学した高校生たちの物語です。

 

松田練太郎、通称ネタローは最後の新入生として、何をするにも《終わり》を意識しながら高校生活を送っています。有名進学校でもなければ、不良の巣窟でもない平凡な学校。当然、新入生の募集はなく、春が来る度に教室が3分の1空き教室になっていく学校。

 

そんな学校で3年生になり、進路に悩んでいた夏休み明け、交通事故にあって入院した先生の替わりに赴任した神村先生がいきなり放送室ジャクしてマイクに向かって叫びます。

 

「お前たち、何でもイイから始めてみろ!」

 

このころのトンタマの学生たちは

 

「どうせ、あと半年で最後なんだし」

 

が口癖で、無気力だったのを見かねて神村先生が檄を飛ばしたのです。この言葉がきっかけになって《終わり》ばかり考えて生活していた高校生たちが少しずつ活気を取り戻していきます。

 

ネタローたちの周りには渋くて格好いい大人がたくさんいます。バツイチだったり、会社をリストラされて故郷へ都落ちしたりと世間的には負け組なんですが、その生き様で高校生に人生を学ばせます。なかでも神村先生がネタローたちに語った

 

「グレート・ジャーニーをした連中はどんな奴等だったか?」

 

という話しはとても良い話しです。私の文章力では感動を十分に伝えられないので、気になる人はぜひこの本を手にとって読んで下さい。