きじかくしの庭

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桜井美奈、メディアワークス文庫
☆☆☆
《きじかくし》というのはアスパラガスの別名です。食卓にのぼるアスパラガスしか知らないと、このお話に入り込めないと思います。葉を茂らせたアスパラガスを何かで確認してから読み始めて下さい。

 

浮気性のダメ男と付き合ったために心をかき回される日々を送っていた高校生の花谷亜由は、男が苦手なアスパラガスを復讐のために学校にある人が寄りつかない荒れ果てた花壇で育て始めます。

 

教師6年目の田路宏昌には学生時代から付き合っている独立心旺盛な恋人がいるのですが、彼女の言動に振り回される日々に、このままでいいのか悩んでいます。

 

花壇で泣きながら雑草を抜いている亜由をたばこを吸いに来た田路が見つけ、会話を交わしたことで二人は秘密を共有する関係になります。

 

アスパラガスは多年草で収穫までには3年かかります。3年生だった亜由は収穫を迎えることなく卒業し、花壇の手入れは田路に託されます。ですが、その後も人の寄りつかない花壇には秘密の悩みを抱えた生徒が引き寄せられてきます。仲違いをしてしまった千春と舞。家でも学校でも居場所を見つけられない祥子。

 

毎年、生徒は卒業していくけれど、そのたび新たな出会いがアスパラガスの花壇で繰り返されます。花壇が縁を取り持つ、心あたたまるお話です。