ローマ亡き後の地中海世界_海賊、そして海軍

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塩野七生新潮文庫
☆☆☆
高校の世界史の授業で先生が、

 

「強い権力が消滅すると、混乱が長く続く」

 

と言っていました。実際、ローマや唐といった覇権国家が滅亡したあとは長期間に渡って、その地域の治安は悪くなったようです。このことについて、もっと詳しく知りたい方にピッタリの本がこの本です。西ローマ帝国が滅亡した476年から、1856年に海賊行為の禁止を宣言した「パリ宣言」までの地中海世界を扱っています。

 

この本を読むと考えさせられるのが、

 

①ヨーロッパはローマ帝国崩壊後、とても長い間(私の印象では第二次世界大戦まで)治安の悪い状態が続いた。

 

②安全保障というものは具体的な行動なしには手に入らない。

 

ということでしょうか。《治安が悪い》なんて言うと、日本人の多くは、

 

『日本の戦国時代みたいな時代か?』

 

と勘違いされますが、この本を読めばヨーロッパに城塞都市が沢山あり、日本には一つもないことがよく分かるようになります。

 

思わぬ収穫はイスラム教の開祖マホメットについて塩野さんのお考えを知ることができたことです。現実は大抵の人間には厳しいものなのですが、歴史には希に神様から特別に愛される人物が登場します。この本の一方の主人公になる海賊たちが信じるイスラム教の開祖、マホメットもその一人です。長い間私は、何故あんな短期間にマホメットが大帝国を築けたのかが不思議だったのです。この本を読んだお陰でナルホドという気持ちになりました。

 

アメリカの覇権に陰りが生じてきている現在、権力が消滅するということはどういうことか学ぶのに良い一冊だと思います。