陽だまりの彼女

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越谷オサム、新潮社
☆☆☆
本にも相性がありますから、この本を『面白い』という人がいるかもしれませんが、私にはあいませんでした。

 

真緒は中学生のときの初恋の相手である浩介を社会人になっても忘れられません。ついに浩介が働いている会社を探し出し、偶然を装って再会を果たします。二人は恋に落ち、真緒の両親に結婚を反対されたので駆け落ちし、甘い新婚生活が始まります。

 

ここまでが本の前半のお話です。出会って、新婚生活を始めるまで急展開です。このあとどうやってラストに持っていくんだろう?と思いました。

 

真緒が「疲れた」と疲労をうったえるようになります。これは恋愛の絶頂で不治の病が見つかって、恋人の胸の中で死別する悲恋ものか?!、と嫌な予感。私はうつ病になってから、物語のなかであっても人が死ぬのが苦手なのです。

 

二人で病院に行って検査を受けますが、真緒の体には何の異常も見つかりません。浩介と一緒に私もホッとしていると、ラスト20数ページで怒濤の展開です。真緒は会社へ出かけたきり何の前触れもなく蒸発してしまうのです。それがあまりに突然で、私は物語から放り出された気分になりました。

 

浩介は真緒を捜しますが、周囲の誰も真緒を憶えていません。真緒を憶えているのは浩介だけです。悲嘆にくれて街を歩いていると真緒の指輪を身につけた猫が近寄って来ます。そして浩介が「この猫は真緒だ」と思ったところで物語は唐突に終わります。

 

「この猫は真緒だ」と浩介が最後の最後で思うまで、ファンタジーの要素は全くありません。作者が話しを膨らませ過ぎてオチがつけられなくなり、強引に夢オチにしてしまったB級マンガのようなお話です。