佐藤多佳子、偕成社
☆☆☆
小学校五年生の男女6人が山に囲まれた街で、助け合ったり、ぶつかり合ったりしながら成長して行く物語です。
パワー・スポットとしてひそかな人気を持つ白烏(シロガラス)神社を舞台にして、お話が進んでいきます。
神社で行われるお祭りでは、神様に奉納する神楽を子供たちが踊るのですが、少子化の影響で踊り手がいなくなってしまい、存続の危機です。そのため、普段は神社に寄りつかない子供たちが集められ、踊り手になるように大人たちから勧誘されます。
物語の中では、目線が次々に違うキャラクターへと代わって行くので、主人公と呼べるようなキャラクターはいないように感じたのですが、どの子も魅力的なキャラクターに描かれていて、作者の高い技量に感心しました。
ファンタジーと思って読み始めたのですが、この巻ではその要素はなく、最後に不思議な物語の始まりを予感させる事件がおこって終わり、《第2巻につづく》で締めくくられていて、
「えーっ、こんなイイとこで終わっちゃうの!」
と私はなりました。
児童書として書かれた本ですが、大人が読んでも楽しい本です。続編も読んでみようと思います。