百波秋丸、メディアワークス文庫
☆☆☆
お悩みを解決するためにご馳走を食べるというところが、昔ヒットした、漫画《美味しんぼ》に似ているなぁ、と思いました。ただし、《美味しんぼ》が硬派な話しが多かったのに対して、今回紹介する本はライトノベルらしく、軽いノリで問題を解決していくところが違います。
舞台は総合商社のお荷物部署、前社長の意向で設立された通称グルメ課です。表向きは社内で必要な物品を過不足なく補給することを担う部署なのですが、裏では悩みを抱えた社員に経費でご馳走を食べさせ、ついでに悩みまで解決しちゃう特殊な任務を担っています。
グルメ課には4人の社員がいます。普段は頼りなさそうだけど実は頼りになる課長、クールで皮肉屋な男性社員、チャラく見えるけど情報収集能力が高い男性社員、頑張り屋さんだけど時々空回りしちゃう若手女性社員、この4人がそれぞれの特性を生かしながら協力して、社内のお悩みを解決していきます。
私が働いていた役所では、仕事は丸投げ、途中のサポートはゼロ、結果がでない人はボコボコに叱責される職場だったので、悩みがある社員に援軍を送るばかりか、経費でご馳走まで食べさせてくれるなんて夢のような会社だなぁ、なんて思いながら読みました。
そんな訳ですから、サラリーマンが共感しながら読む本じゃなくて、
「こんな会社があったらイイな」
と思いながら読むファンタジーだと思います。