山本幸久、集英社
☆☆☆
売り出し中の女性漫才コンビ【アカコとヒトミ】の物語です。
小さな劇場で漫才をしていたアカコとヒトミですが、少しずつチャンスを掴んで、ファンもつくようになってきました。
それまで、漫才をしてお客さんを笑わせることが純粋に好きだった二人ですが、テレビから出演依頼が来るようになってから、周りが騒がしくなってきます。
劇場と違って、時間や立ち位置、目線など制約の多いテレビでは自分たちの漫才ができないと悩む主人公たちと、漫才なんかにこだわるよりも、手っ取り早くお金になるテレビに出演して欲しい事務所とのせめぎ合いになってしまったのです。
芸能界は主人公たちのように芸に打ち込む人ばかりではありません。お金のためならなんでもやってのける人、優れた容姿を利用して這い上がろうとする人、そういった自分勝手な人たちの犠牲になった人など、ぼんやりしていたら飲み込まれて流されてしまいます。
外ばかりに気をつけていれば良いわけではありません。四六時中一緒にいて、稽古しなければならない漫才コンビには喧嘩がつきものです。本当に仲が悪くなって、解散してしまうコンビも珍しくないのです。
アカコとヒトミが混沌とした芸能界でどんな答えを出すのかご期待ください。
