梶よう子、新潮社
☆☆☆
物語の舞台は、町人文化が花開いた江戸時代の江戸です。
もとは裕福な商家の娘だったお瑛(17歳)ですが、事故で両親を亡くし、今は兄の長太郎と二人でお店を営んで、質素に暮らしています。
どんなお店を営んでいるかといいますと、店内の品物なんでも38文というお店です。この時代のかけ蕎麦が16文ということなので、現代風に言うと《500円ショップ》でしょうか。
現代のようになんでもシステム化された社会ではないので、仕入れは長太郎が江戸の街を歩き回って行っています。少しでも良い物を安く仕入れようとすると、どうしてもいわくつきの物にも手を出さなければなりません。
この本には6つのお話が納められていますが、それぞれに長太郎が仕入れてきたいわくつきの品物が関係しています。
楽天的な兄のせいで、自然としっかり者になった看板娘のお瑛ちゃんが、いわくつきの品物にまつわる不思議な縁に導かれて、様々な人たちと関わっていく物語です。