瀬尾まいこ、文春文庫
☆☆☆
主人公のルイーズ吉田(本名、吉田幸子)は何をやっても長続きしない性格です。短大を卒業して事務用品を扱う会社の営業になったものの、上司と喧嘩して半年で辞めてしまいました。貯金もないので、すぐに仕事探しを始めたところ、占い師募集の広告に書いてあった
【時給千二百円、おしゃべり好きなあなたなら簡単!、誰にでも勤まります。一人でできる仕事だから、わずらわしい人間関係もなし】
の見出しに目が留まります。
「一人で気楽にできるならイイじゃん!」
と応募し、それから一年が経ちました。
ショッピングセンターの片隅でお店を開いていると、色々なお客さんがやってきます。お客さんには、明るい未来だけ伝えると嘘っぽいので、明るい未来と暗い未来を七対三の割合で話し、気分よく帰ってもらうのですが、なかには占うのが難しいチョット変わったお客さんもまれにやって来ます。
この作品は、そんなチョット変わったお客さん4人を一人ずつ、4つのお話に納めています。
ルイーズはかなりいい加減な性格で、自分でも占いの最中に適当なこと言っているなぁ、と自覚している人間なのですが、その一方で、深くかかわったお客さんの面倒は最後まで見てしまう根はイイ人でもあります。
あなたもルイーズと一緒に占い師になったつもりで、チョット変わったお客さんと時間を過ごしてみませんか?