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空色の地図

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梨屋アリエ金の星社
☆☆☆
ある日突然、中学3年生の初音のもとに、差出人のわからない封書が届きます。中には、8歳の夏休みに未来の自分に宛てて書いた手紙が入っていました。

 

あれから6年もたった今になって、『なぜ届いたのだろう?』と考える初音。あの夏の間だけ友達だった美凪のことが懐かしく思い出されます。そして、初音は手を尽くして美凪の行方を調べ、会いに行くのです。

 

この物語は、子供でもなく、大人でもない微妙な季節を描いた物語です。子供のように無邪気ではありませんし、やりたいことがあっても親の援助がなければ多くのことはできないことも理解しているのです。

 

社会的に高い地位と収入がある両親から、その価値観を押し付けられて窮屈に感じている初音と、アル中で家族に暴力をふるう父親を持ち、経済的に困窮した家庭で暮らす美凪が中学3年生になって再会し、異なる境遇や悩みを乗り越えて友情を育てます。

 

大人になると似たような境遇の人とばかり付き合うようになってしまいますが、思い返せば、公立の中学校には様々な家庭環境の子供が集まってきていて、初音と美凪のように友達になれた気がします。

 

子供のころは周囲のことだけが世界の全てだったのに、年を取るにつれて世界が広がっていき、それに反比例するように自分の存在がちっぽけなものに思えてくる、そんな年頃の心の描写がとても上手に描かれています。

 

中学生は共感しながら、大人は懐かしい気持ちになりながら読むことができる物語です。