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くるくるコンパス

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越谷オサムポプラ社
☆☆☆
東京駅で中年の男性(カズト)が、これから修学旅行へ出かけようとしている中学生たちを眺めがら、物思いにふけっている場面から物語が始まります。

 

この物語はそんなカズトがまだ中学生で、新幹線の0系やファミコンが現役だったころの話です。

 

中学校では、リアルが充実している生徒の行き先は運動部と決まっています。将棋部なんて部活はもてない男子の溜まり場で、女子が入部するなんてことはありません。

 

それが奇跡的に、カズトが将棋部に入部した年には幼なじみの水谷佳織が一緒に入部してくれたのです。女子が入部したというだけで、喜んだ将棋部の面々ですが、さらに部員を驚かせたのが、入部早々に彼女が先輩たちを次々と将棋で倒し、部内最強の地位を確立してしまったことです。

 

明るく、さばさばした性格の佳織は人気者で、将棋部では充実した時間が流れていきました。しかし、佳織は中学3年生になる前に、父親の転勤に付き合って大阪へ引っ越してしまうのです。

 

佳織に対して言葉にできない思いを抱いていたカズトと親友のシンヤとユーイチは京都での修学旅行の自由行動日に京都を離れ、大阪の佳織のもとへ訪ねて行くことを計画します。もちろん、京都を離れて大阪へ行くことは規則違反です。規則違反が明らかになれば、頭を丸刈りにする罰が待っています。

 

スマートフォンなんて便利な物が無かった時代、土地勘のない中学生が京都から大阪まで行くことは立派な冒険でした。カズトたちは先生たちの監視を振り切り、電車の乗り換えに頭を悩ましながら、佳織に会いたい一心で危険を冒して大阪を目指します。

 

異性を強烈に意識し始める中学生ならではの、ぎこちない行動が物語のあちこちにちりばめられていて、読みながら私はカズトと一緒に体がムズムズしてしまいました。こういう本を《恋と冒険の物語》っていうんでしょうかね。(笑)