瀧羽麻子、小学館
☆☆☆
京都大学と思しき大学に通う、文学部4回生の女子大生、花が主人公の恋愛小説です。
花はお洒落と楽しいことが大好き、学校の勉強は卒業できればいいや、くらいな感じでキャンパスライフを謳歌しています。
そんな花に出会いが訪れます。いくつかの偶然が重なって、ピンチヒッターで参加することになった合コンで、同じ大学の理学部数学科の4回生男子(龍彦)に一目惚れしてしまうのです。
一目惚れした花の方から積極的に始まったお付き合いですが、少しずつ龍彦の特殊な人柄が分かってきます。龍彦は数学の研究にのめり込むあまり、寝食も忘れ、栄養失調で倒れるまで数学のことが頭から離れない人だったのです。
恋人の浮気が心配な女性は沢山いると思うのですが、ライバルが数学だったらどうしますか?数学のことを考え始めると龍彦は意識が現実世界から飛んでしまって、会話が普通に成立しないのです。
それともう一つ問題があります。名門大学の理科系の学生というのは、大学院への進学率がとても高いのですが、その例にもれず龍彦も来春から大学院へ進学するのです。しかし、文学部の花は春に卒業し、東京で就職することが決まっていて、今みたいに気軽に会える時間もあとわずかです。
京都を舞台に、お洒落な文学部の女子大生が、ダサい男子の巣窟みたいな理学部の数学オタクに恋をする物語です。