うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

ハケンアニメ!

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辻村深月、マガジンハウス
☆☆☆

まず、題名ですが、漢字をあてると【覇権アニメ!】です。アニメが好きな人たちの間では、同一期間中に放送されたアニメの中で、最も商業的に成功したアニメを称賛して、【覇権アニメ】と呼ぶそうです。

 

本の装丁を見て、てっきりライトノベルだと思っていたのですが、読んでみると意外や意外、まじめなお仕事小説でした。

 

この本を読むまで知らなかったのですが、アニメの仕事って人海戦術でこなしているんですね。1つのアニメをテレビで放送するまでに、とても沢山の人たちが力を合わせて作品を作っていることがよく分かりました。

 

本の構成は、3章と最後にまとめの章が設けられていて、

 

第1章:プロデューサー
第2章:監督
第3章:アニメーター

 

が主人公になっていて、まとめの章で3人のその後が書かれています。

 

きちんとした取材をもとに書かれていることが、小説を読んでいて分かり、私は好印象でした。ゲスな話になりますが、一般の人が一番知りたい、

 

「アニメの仕事は儲かるのか?」

 

なんてことにも具体的な金額をあげて答えてくれています。

 

作中では、立場の違う人々が、少しでもより良い作品を世に送り出すために、ぶつかったり、協力したりしながら、限られた時間と製作費のなかで、ときには過労で倒れるまで働きます。

 

でも、どの登場人物にも共通しているのは、アニメへの愛です。

 

本の装丁は作者や編集者が、話し合って決めていると思うのですが、この本は装丁で損をしていると思います。イラストレーターの名前に詳しくないので、誰に頼めばイイのにとか、具体的な意見はないのですが、中身が本格的なお仕事小説なのですから、オタクの人たちを意識した装丁にしたのは購読者を限定する結果になって、逆効果だったと思います。アニメが好きな人だけではなく、働く人すべてに読んでもらいたい良書です。