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隅田川のエジソン

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坂口恭平、青山出版社
☆☆☆
なんと、この物語の主人公はホームレスです。

 

硯木正一(50代)は元気で楽天的な男。ずっと、土木現場で働いてきましたが、仕事熱心で気持ちのいい男だったので、どこの現場でも重宝がられて生きてきました。

 

正一は色々な現場を渡り歩いてきましたが、たまたま働いていた土木会社が倒産してしまい、土地勘のある浅草に帰ってきたところ財布を盗られて、無一文になってしまいます。

 

普通の人なら慌てるところですが、この男は違います。これから始まる冒険にドキドキするのです。

 

隅田川にかかる言問橋の下をねぐらにホームレス生活を始め、不思議な人間的魅力で仲間を引きつけコミュニティを築き、創意工夫で生活を快適にし、路上で生活する人たちにしか分からない経済活動をしてお金を稼ぎだします。

 

現実の世界ではホームレス同士で競争があって、けっこうギスギスしているのですが、この物語のホームレスたちは無欲で優しい人たちばかりで、情報や物を惜しみなく分け合って、穏やかで満ち足りた生活を送っています。笑顔が絶えない正一たちの路上生活は、理想的な元始共産主義社会とはこのような社会をいうのかと思ってしまいます。

 

正社員として働いていると理不尽な目にばかりあって、ストレスが溜まる一方ですよね。色々なことを諦めれば、少ない収入でも心の持ち方と工夫次第でこんな風に、自由に楽しく暮らせるのかなぁ、と考えさせられました。