うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

ビブリア古書堂の事件手帖6

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三上延メディアワークス文庫
☆☆☆
物語の中であっても殺人のシーンがあるのは嫌な方にお勧めな、人が死なないミステリーです。人気があるみたいで、6作目となりました。

 

前作を読んでから、随分と経ってしまったので登場人物たちのことを忘れてしまっているのではないかと心配だったのですが、読み始めると、作中に自然な形で前作からの経緯が盛り込まれていて、すんなりと物語の中に入っていけました。

 

今回は太宰治の希少な古書を巡って、47年前の事件を調査して行くうちに、栞子と大輔の意外なルーツにたどり着いてしまいます。

 

かつて栞子に重傷を負わせた青年からの思いもかけない依頼、差出人不明の脅迫状、一見善良そうに見える人たちの真実の姿、いくつもの伏線が複雑に絡み合ってラストまで目が離せないお話です。

 

一冊丸々、太宰治なので、随所で栞子の口から太宰に関するうんちくが聞けるのも良かったです。

 

こういった続編が出る小説には、回を重ねるほどに中身が薄くなっていく本もありますが、この本は、これまで《ビブリア古書堂の事件手帖》を読んできたファンの期待を裏切らない内容になっていると思います。

 

私個人としては、知能犯が仕掛けた罠を栞子が明らかにしていく場面で、もし栞子がこの明晰な頭脳を犯罪に使ったらと想像して、大輔が恐ろしく思うシーンが印象に残りました。大輔は栞子との結婚を考えるまでになっているので、そんな心配をしたのだと思います。短所を伴わない長所なんてありませんからね。少なくとも、こんなに洞察力が鋭くて、頭脳明晰な奥さんだと大輔は絶対に浮気なんて出来ません。(笑)