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ライアの祈り

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森沢明夫、小学館文庫
☆☆☆
あなたは《輪廻転生》を信じますか?この物語は大森桃子という主人公が縄文時代の深い森の中にいる夢を見るところから始まります。

 

桃子は仕事の都合で青森県の八戸に転勤してきました。勤め先の同僚から合コンに誘われたのですが、35歳、バツイチの自分が行って居場所があるとは思えず、乗り気ではありません。しかし、行ってみるとそこには一人、自分と同じように若くなく、風采の上がらないモッサリとした大男がいたのです。しかも、縄文時代の遺跡を発掘することを生業とする考古学者だというではありませんか。縄文時代のリアルな夢を見た直後だったので、桃子は大男、佐久間五郎の話す縄文時代の人々の暮らしについて興味を持ち、五郎の人柄にも好意を持ってしまうのです。

 

そして、この物語にはもう一人、主人公がいます。時代は縄文時代、場所は青森県八戸。桃子の魂は時空をさかのぼり、ライアという名前で同じ土地に暮らしていたのです。ライアは活発な若い女性だったのですが、狩猟中の事故で足に重傷を負い、歩行が不自由になってしまいます。縄文時代には今みたいに頭脳労働なんてありませんから、ライアは集落の役に立たなくなってしまった自分を嘆き悲しむのですが、本当の兄のように慕っているマウルの提案で生まれ変わるのです。

 

離婚に至った結婚生活で心に傷を負い、新しい恋に臆病になっている桃子の心に、過酷な運命に立ち向かうライアの記憶が物語の要所要所でよみがえり、桃子の背中を優しく押してくれます。

 

桃子の物語は再生の物語であり、ライアの物語は縄文時代の人たちの幸せとは何かを考える物語になっています。

 

二人の主人公が下す感動の決断に、みなさんも一緒に立ち会ってみて下さい。