うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

シューカツ!

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石田衣良文芸春秋
☆☆☆
題名の通り、7人の大学3年生が就職活動に励む物語です。就職活動している学生さんたちが読めば、共感することがたくさん書かれています。

 

物語は、早稲田大学をモデルにした〈鷲田大学〉で、マスコミ志望の7人がチームを結成するところからスタートします。

 

チームにはキャラの違う人物が参加しているので、自分と似ている人物に感情移入しながら読むのも面白いかもしれません。ただ、物語は主人公である水越千晴(ちはる)の目線で進んでいきます。

 

千晴のキャラクターはいたって平凡に設定されていて、もし、私が人事部の採用担当者なら、「可もなく不可もなし」と評価すような人物です。ちょっとだけネタバレすると、テレビ局へインターンシップで一緒に参加したチームの仲間が、その美貌で女子アナにスカウトされて、そのまま内定してしまうのですが、そういった人混みの中にいて光る才能を持った人物ではありません。

 

そんな千晴が【就活あるある】をいくつも乗り越えていきます。働くことの意味や、生涯賃金のことを考えたり、新卒でなくなると採用が難しくなるので全滅だけは避けたいという焦り、OBOG訪問で出会う人たちとの交流でガッカリしたり元気になったり、不採用通知をもらった時の人格を否定されたような気持、チームの仲間にグチを言ったり聞いてあげたり、そんな経験をしながら大学四年生の春を迎えるのです。

 

物語の中でも書かれているのですが、就職活動って若人にとってみれば初めて《努力》と《才能》以外のものを試されるイベントかもしれませんね。私は受験勉強って、あまり《運》の要素ってないと思っています。みなさん、だいたい《努力》と《才能》に見合った学校に進学したのではないでしょうか?就職活動では誰に面接してもらうかで、結果が随分と違うので《運》がとても大事です。

 

最後に、この物語は〈早稲田大学の学生が就職活動したら〉ということを想像しながら書かれた物語です。なので、三流大学に通う学生のように書類選考で門前払いされるなんてことはありません。この点については、読者を一流大学に通う学生に限定してしまったかもしれないなぁ、と思いました。