海を抱いたビー玉

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森沢明夫、小学館文庫
☆☆☆
昭和34年に製造されたボンネットバスが実際に辿った運命に作者である森沢さんが感銘し、実話をもとにファンタジー小説として創作された物語です。

 

長く人に愛された物には魂が宿ると言われますが、この物語の主人公であるボンネットバスは最初の使用者から大事に扱われるうちに魂が宿って、身の回りの出来事について考えるようになります。

 

ボンネットバスは悪意が全くない、無垢な子供のような人格として描かれていて、物語の中で経験する過酷な運命にも恨み言一つもらしません。なので、私は

 

「これは大人が読む童話だな」

 

と思いながら読みました。

 

大量生産、大量消費の時代に物を大事にする人たちの手から手へと受け継がれることによって、ボンネットバスが時を超えて活躍します。その活躍を通して様々な人たちと出会い、心の交流をしてゆくのです。

 

ボンネットバスが辿った数奇な運命に興味をもたれた方はぜひ読んでみて下さい。少年と少年の心を持った大人たちの心が温かくなるお話です。