生きるぼくら

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原田マハ徳間書店
☆☆☆
私は本の装丁を見て、手にするか否かを決めることが多いのですが、この本の装丁は内容をイイ意味で裏切りました。主人公が田んぼの中に立って、笑顔でこちらに手を振る姿から、この本の内容を言い当てるのは不可能だと思います。

 

大人の引き籠りというテーマだけでも話をまとめるのが難しいテーマだと思うのですが、この本では老人介護まで扱っています。主人公がやっとの思いで引き籠りから抜け出したと思ったら、老人介護に直面するなんて過酷な運命だなぁ、とハラハラしたものです。

 

私も現在うつ病で、認知症の母の介護をしているので、主人公の気持ちが痛いほど分かります。作者は、そんな立場の人たちが何を望んでいるのか考えて、奇跡のような出会いを主人公に用意しました。

 

本当に困っている状態から、一人で抜け出せる人もいるのかもしれませんが、多くの人は袋小路で呆然と一人ぼっちで立ちつくしていると思うのです。そんな人たちの願いは、明るい笑顔を向けてくれる人や、励ましてくれる人との出会いではないでしょうか?なので、この本の第三のテーマは【人との出会い】です。

 

「都合が良すぎる」と思ってしまう人もいるかもしれませんが、これが引き籠りや老人介護で悩んでいる人たちの夢だと思って読んでいただけたら良いと思います。

 

この本を読み終わって、中島みゆきサンの【糸】を思い出しました。

 

縦の糸はあなた 横の糸は私
逢うべき糸に 出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます