ひなた弁当

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山本甲士、中央公論新社
☆☆☆
妻と子供2人を家族に持つ芦溝良郎(49)が主人公です。

 

良郎は大学卒業後、地元の不動産会社に就職します。おとなしく、目立つことが苦手な性格なのに営業を任されて苦労してきたのですが、なんとか49歳まで続けてこられました。

 

しかし、地方都市を地盤とする不動産会社に不況の波が襲い掛かります。会社の業績は傾き、社内の人間関係はギスギスし、そこに派閥抗争まで勃発して、良郎は会社にいるだけで心がすり減ってしまいます。そして、ついに人員整理が始まり、社内政治に疎い良郎は真っ先に首を斬られてしまうのです。自立してない子供2人を持つ良郎はどうやって、このピンチを乗り越えるのでしょうか?

 

バットエンドのお話は苦手、という方もいると思うので言っておきます。この物語はハッピーエンドです。安心して手に取って下さい。

 

物語前半の会社内でのイジメと家族から軽蔑される姿、そして物語中盤の就職活動はリアルで読んでいて辛かったのですが、その後は良郎の人生が徐々に上向き、

 

【禍転じて福と為す】

 

という感じで終わったので、読み終わったとき「ほっ」としました。

 

私は47歳、無職で就職活動中です。本当に就職難で、いっそ良郎のように起業しようかと思うのですが、イチかバチかで起業した人のほとんどが数年内に廃業するそうなので、冬眠した動物のようにじっとして時をやり過ごしています。だから、物語の中だけでも同年代の同志が成功する姿に接することが出来て嬉しかったです。