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いつか陽のあたる場所で

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乃南アサ、新潮社
☆☆☆
まだ女子大生だったころに犯罪を犯して警察に捕まり有罪判決を受け、刑務所に7年間服役し、出所して間もない小森谷芭子(こもりやはこ、29)が主人公です。

 

芭子の実家は上流階級の家で、有罪判決を受けた芭子を家の恥とみなします。そして、芭子は実家から一切の関係を断たれてしまうのです。芭子は、実家が縁を断つ見返りとして与えてくれた東京の下町の谷中にある一軒家で暮らし始めます。

 

縁もゆかりもない土地で暮らし始めた芭子は孤独に苦しめられます。唯一、刑務所で友達になった綾香(41)だけが心を開ける存在です。

 

2人とも刑務所に入ったことで、それまでの人間関係を全て失ってしまったため孤独でお金がないのですが、過去を隠して暮らしているので、活動的になることもできません。

 

過去を詮索されず、人目につかずに働ける職場を苦労して見つけ、都会の片隅でひっそりと暮らすのです。そんな仕事が高給なわけはなく、二人の楽しみは月に2度の外食だけです。

 

題名からハッピーエンドなお話を連想される方がいるかもしれませんが、違います。本を最後まで読んでも2人には何の幸福も訪れません。しかし、私は夢中で読んでしまいました。社会から見捨てられた2人が必死に生活する様が、今の私の境遇と似ていたからです。そして、逆境の中で芭子が色んなことを考えるのですが、驚くくらい私と同じことを考えているので、本を読みながら芭子を応援してしまいました。

 

社会に居場所がなくて、孤独を感じている人にお勧めの小説です。