あん

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ドリアン助川、ポプラ文庫
☆☆☆
この本を読んでみようと思ったのは、作者であるドリアンさんのインタビューをテレビで拝見したからです。

 

ドリアンさんは若いころにロック歌手やラジオのパーソナリティとして一世風靡したのですが、しだいに仕事がなくなり、40代になるころには芸能人としての仕事はなくなってしまいました。何冊か本を書いたのですがあまり売れず、将来への不安が募るばかりでした。不安を忘れるために飲み始めたお酒の量が少しずつ増えていき、体調を崩すほどになります。このままではいけないと断酒を決意し、その代わりにお菓子を口にするようになります。お菓子を食べるようになると、お菓子に興味が湧いて、ドリアンさんはお菓子を作る教室に通い始めます。そこで習ったどら焼きに着想を得て、この本の執筆に取り掛かったそうです。ドリアンさんは、その頃のことを振り返って、とてもつらい時期だったとインタビューに答えていました。

 

そんな作者の境遇が色濃く反映された内容なので、内容と本の表紙に描かれた女学生の絵および《あん》という可愛らしい題名との間にはギャップがあります。

 

主人公は中年の男性で、その他に物語に深く関わるお婆さんが登場します。二人が町の小さなお店でどら焼きを作って売るのですが、二人には他人には言えない秘密があるのです。

 

世間から拒絶され、運からも見捨てられたとき、何を頼りに人は生きていけば良いのかを考えさせる物語です。