スクープのたまご

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大崎梢文藝春秋
☆☆☆
表紙が漫画チックなので、明るく、ソフトな内容かと思っていたら、案外硬派な小説でした。

 

主人公は運だけで大学入試と就職活動を乗り切った信田日向子です。日向子は子供のころからの憧れだった出版社に正社員として就職することに成功します。しかし、喜んだのもつかの間、入社2年目でスキャンダルやゴシップで埋め尽くされた週刊千石に配属を命じられます。

 

日向子は、流行を生み出す華やかなファッション誌や教養かおる文芸誌に憧れて入社したのに、エロ・グロ・ナンセンスで満たされた大衆誌に配属されてガッカリ。おまけに、事件の容疑者を追跡調査する週刊誌の記者には昼も夜もありません。容疑者に合わせて働かなければならない激務なのです。

 

日向子が調査する案件は、最初は独立した事件だと思われていたのですが、調査を継続するうちに点と点が結ばれて線になり、線と線が重なって像を結び始めます。この辺りは、探偵小説として読んでも十分満足できる内容です。

 

私が、日向子に好感を持てたのは、自分がやっている仕事に対して、【倫理的に問題があるんじゃないか?】といつも自問自答しているところです。

 

マスコミの事件記者は、人の不幸をネタにして飯を食べているということを忘れてはいけないと思います。そんな人たちが、正義の味方みたいな顔をして躊躇なく他人を攻撃する姿を見ると、私はウンザリしてしまうからです。

 

日向子の調査は99%空振りなのですが、最後の最後で持ってる女の本領を発揮してスクープを呼び込みます。結末は読んでみてのお楽しみです。