うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ

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古内一絵、中央公論新社
☆☆☆
《マカン・マラン》とはインドネシア語で【夜食】という意味です。

 

商店街の奥のそのまた奥にある細い路地を進んで行った所に、知っている人だけが知っている、夜だけ営業しているカフェ《マカン・マラン》はあります。

 

立地条件が悪い場所で営業している《マカン・マラン》ですが、出される料理は薬膳料理のように体に良い物ばかりで、しかもとびきり美味ときています。だから、一度ここの料理を口にしたお客さんたちは繰り返し足を運ぶことになるので、店を経営していくのに十分な常連客がついています。

 

そして、このお店のもう一つの魅力が、人の話を聞くのが上手なオカマの店主の存在です。

 

世の中には理不尽なことを、さも当然の権利のように要求してくる輩がどこにでも一定数います。子供のうちは、嫌ならばそういった連中とは付き合わなければイイのですが、サラリーマンになって給料をもらう身になってしまうといつも逃げられるわけではありません。

 

【我慢するのも給料のうち】

 

なんて言葉は、今日も日本のどこかで言われていることでしょう。

 

この物語では、そんな理不尽な連中が幅を利かせる世の中で疲れたサラリーマンたちが、不思議な縁に引き寄せられて《マカン・マラン》へたどり着き、美味しい薬膳料理を食べながら、店主に身の上話をして、心の荷物を少しだけ軽くするのです。

 

登場するサラリーマンは4名です。年齢、性別、職業などがバラバラな人たちなので、共感できる人が一人はいるんじゃないでしょうか。私は以前、巨大官庁で働いていたのと年齢が近いことから、大企業で働く女性の身の上話にとても共感しました。

 

人通りのない場所で、夜だけ営業している隠れ家のようなカフェで、疲れたサラリーマンと豊かな人間性でお客たちを魅了する魔女のような雰囲気を持った店主との交流をあなたも覗いてみて下さい。