思い出のとき修理します

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谷瑞恵集英社文庫
☆☆☆
『オタク』と呼ばれる人たちが好むジャンルに、【幼なじみ】というものがありますが、これもそれに含まれるんでしょうか?

 

都会で美容師をしていた仁科明里(28)は職場恋愛で失恋して、同時に仕事も失ってしまいます。

 

そして、小学校低学年と思われる年頃に一度だけ、忙しいシングルマザーの母に代わって明里を預かってくれた祖父母の家があった地方都市へと都落ちするのです。

 

引っ越し先は寂れた商店街にあり、近所には

 

【思い出の時 修理します】

 

なんて謎めいた看板を掲げる時計屋さんがありました。

 

こんな紹介のしかただと、時計屋さんが大活躍して、過去の失敗を挽回してくれるようなお話を想像される方が多いと思うのですが、そうではありません。時計屋さんは穏やかで優しい商店会長という以外はいたって平凡な28歳の男性です。

 

明里と時計屋さんは他人の過去の因縁に巻き込まれるうちに不思議な体験をします。二人はその際、チョットだけ過去に縛られた人を良い方向へ後押しするのですが、その行動を通じて二人は気心が通じ合うようになっていきます。そして、二人にも共に過ごした過去の因縁があったことを思い出し、やがて二人は惹かれ合うようになるのです。

 

心温まる連作短編集です。子供の頃の初恋が実るなんていうロマンチックな話が好物な方にはとくにお勧めです。