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春、戻る

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瀬尾まいこ集英社文庫
☆☆☆
望月さくら(36)は、もうすぐ結婚をします。12年働いた会社を寿退社して、結婚の日までの期間を利用して通っている料理教室に突然、お兄さんが訪ねてきます。

 

さくらには妹はいますが、兄がいるなんて記憶にありません。しかも、兄と名乗る男性の年齢は24歳なのです!

 

みなさんなら、どんなリアクションをしますか?さくらも最初は気味悪がって、お兄さんを警戒するのですが、あまりにもお兄さんの態度が自然で、明るい人だったので少しずつ会話をするようになっていきます。

 

結婚を間近に控えて少し不安になっていたさくらでしたが、自分勝手で、お節介なお兄さんに振り回されて過ごしているウチに、そんなことを気にしなくなってしまうのです。

 

そして、さくらはお兄さんとの交流を続ける中で封印してきた過去の記憶を思い出します。

 

子供の頃から、36歳になるまで順風満帆なんて人は稀なわけです。さくらには、理想とする生き方と、自分の能力とのギャップに悩んで、理想とする生き方を諦めた過去があり、その記憶に蓋をして生きてきたのです。お兄さんは、その辛い思い出の中にいた人だったのです。

 

自分自身の人生を振り返って思うのですが、夢が破れても人生って続くんですよね。ほとんどの人が挫折を経験するわけだから、そこからどうやって生きていくかってことは多くの人が関心あるテーマじゃないでしょうか。

 

ラストで、お兄さんの正体が分かって、さくらの心が暖かなものに包まれます。この場面で読者も、「失敗しても、やり直せばイイんだ」と明るい気持ちになれるはずです。