いろは匂へど

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瀧羽麻子幻冬舎文庫
☆☆☆
主人公は30代中ごろ、独身女性、紫(ゆかり)です。

 

紫は転勤族の両親の都合で、子供の頃に何度も引っ越しを経験したため、知り合った人とはいずれ別れるものという考えが身についてしまい、人と深く関わることを自然と避けるようになってしまいました。

 

今は、亡くなった祖父母が残した店を引き継ぎ、一人で経営しています。店は京都市内にある、こだわりの和食器を扱う専門店です。

 

出歩くことが好きでなく、一人でいることが好きな紫は、今の一人暮らしが気に入っているのですが、紫に好意を寄せる二人の男がそっとしておいてくれません。

 

二人の男は、社会的に高い地位にあり、世間からも高い評価を受けている男なのですが、まったくタイプの違う男です。外見もイケメンで、紫以外の女たちから憧れの対象になっています。

 

最初、孤高の女に思えた紫が男たちの働きかけによって少しずつ影響を受けていき、後半では気持ちをかき乱されて戸惑う女になってしまうのですが、紫は二人のうちどちらを選ぶのでしょう、というのが物語の筋です。

 

ちょっと話がそれますが・・・。
美人が男たちからチヤホヤされるのは、希少性があるからです。逆の見方をすれば、大多数の女は不美人ということです。ですから、紫のようにイケメン二人から同時に熱心な好意を寄せられるということを多くの女は経験せずに一生を終えるわけです。

 

そういう現実があることを踏まえると、紫の物語に共感しながら読める方は少ないと思います。なので、本に【あるある】的な共感を求める方はお止めになった方が良いかもしれません。この本は、

 

『もしも私が、自然にしていても男が寄って来ちゃうようなイイ女だったら』

 

と妄想しながら、夢見心地で読む本だと思います。