サピエンス全史 上

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ユヴァル・ノア・ハラリ、河出書房新社
☆☆☆
テレビや新聞で評判になっていたので、買ってみました。

 

学術論文を読むほどの忍耐は必要ありませんが、学者が書いた本なので表現が回りくどいため、大衆文学を読むような気軽さで読み始めると挫折するかもしれません。

 

それでも、辛抱して読み進めれば知的好奇心を刺激してくれることが書かれています。私は【農業革命は、史上最大の詐欺だった】という説を興味深く感じました。

 

奇抜なことはいっさい書かれていませんから、多くの方が作者の意見に同意しながら読むことが出来る歴史書です。

 

ただし、この本の一番最後に書かれている

 

『世界はまだ政治的にばらばらだが、国家は急速にその独立性を失っている』

 

という考えに、私は同意できませんでした。

 

作者は、地球規模の問題(環境問題など)は今の国家を枠組みにした体制では解決できないので、世界政府のようなものができて、これに当たらなければならないと考えているため、希望を込めてこのように書かれたと思われます。

 

歴史上、いくつもの民族が消滅し、大きなブロックに統合されていったのは事実です。しかし、その過程では帝国の存在が不可欠であり、帝国の誕生と維持には暴力が欠かせませんでした。

 

世界政府が可能になるような帝国が今後誕生するとして、これまでのように暴力が行使されたとき、核戦争なしに済むでしょうか?今や人類は、自分たちを何百回も絶滅させられる数の核爆弾を持っているわけですが、核戦争後に人類は生存しているのでしょうか?

 

そのため、作者の言うようなことはいつか起こるかもしれませんが、これから数百年先までには実現しないと思います。もしも実現するとしたら、千年くらい先のことでしょうか。それまで人類が存続していればの話ですが・・・。