成田名璃子、メディアワークス文庫
☆☆☆
本のタイトルから推理小説かと思って読み始めたのですが、違いました。
身の回りの人間たちが、とてもくだらない人間に思えて、交流することをやめた田中花子(27)が主人公です。
花子は、昼間は会社で簡単な事務処理の仕事をしています。愛社精神はまったくなく、同僚たちとの交流もまったくないので、毎日定時で帰宅します。
早く帰って何をしているのかと言うと、顔を覆面で隠して街角で占い師をしています。くだらない人間たちの悩みを聞いてやるかわりにお金をもらい、そのお金を環境保全に取り組んでいる組織に寄付しているのです。
くだらない人間相手だからインチキ占いで十分と思って始めた占い師でしたが、花子は能力に覚醒してしまいます。お客から悩みを相談されると、ときおり天から言葉が降りてきて、無意識に答えるようになってしまったのです。この答えは、たいへんよく当たり、評判が高まって、花子の占いは行列が出来るほどに繁盛することになるのです。
孤独を愛する花子ですから、お客の未来なんて知ったことではないはずだったのですが、ときおり一風変わった悩みを持ち込むお客がいて、深入りする事態となってしまいます。
花子が覚醒した能力を使って、お客さんの悩みを解決するのに不本意ながら奔走します。はたして、結末はいかに!?
まぁ、こんな感じのお話で、エンタメ小説として楽しい本です。ところで、未来を教えてもらえるとしたら、みなさんは知りたいですか?私は怖いのでお断りします。
「この先、イイことなんて一つもありませんよ」
なんて言われたら、私は生きてく自信ありません。【知らぬが仏】ってこともありますよね。