劇団42歳♂

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田中兆子、双葉社
☆☆☆
大学時代に演劇サークルで芝居をやっていた男5人が、ちょっとしたきっかけからお芝居をまたやろう、という話になります。

 

一時は同じ大学に通う学生だった男5人ですが、42歳の彼らは以下のような立場になっています。

 

・チェーンストアを何軒も有する会社の社長
・親と同居して、演劇にのめり込んでいるフリーター
・車の営業マン
・県庁の職員
・40過ぎてブレイクした人気俳優

 

という具合で、おかれた状況は各自様々です。

 

学生時代と変わらない部分、42歳になって変わってしまった部分を抱えながら、協力したり喧嘩したりしながら、公演の日に向かって準備をしていきます。

 

演目はシェイクスピアのオセローなのですが、登場人物たちが台本を暗記するだけでなく、当時の時代背景やシェイクスピアの他の作品まで調べて役作りしていく姿は、演劇に興味がない私には新鮮でした。

 

私はこれまで2回、演劇を見る機会がありましたが、話がサッパリ頭に入ってこず、中盤から熟睡してしまいました。これを読むと、私が観客として落第だったことがわかりました。そもそも演劇というものは、見に行く前に原作を読んでおくことが必須なのですね。予備知識がない人は、省略されたいくつもの設定や時代背景が分からないため、演劇を見るだけでは置いてけぼりになってしまうのです。

 

演劇というものが、どのようにして完成していくのかに興味がある人にお勧めです。

 

ちょっと物足りないと思ったのは、42歳の彼らが大学生のように自由を謳歌して演劇に打ち込んでいる点です。42歳という年齢になると、自分のためにだけ時間を使える人は少ないと思います。社会では責任ある仕事を任され疲労困憊、家庭では子育て、親の介護などなどが待ち受けているはずです。そういったリアルな42歳の要素があったらもっとよかったのに、と思うのは望み過ぎでしょうか?