ふたつめの庭

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大崎梢、新潮社
☆☆☆
主人公は小川美南(25)です。保育園の先生をしています。そして、この物語は保育園で起こる事件を扱っています。

 

事件といっても、警察が対応するようなものではなく、今日も日本のどこかの保育園で起こっている事件です。

 

美南の勤めている保育園はセレブが子供を預ける特別な保育園ではなく、町の中にある普通の保育園です。そのため、色んな家庭の事情を抱えた子供たちが集まってきます。

 

保育園の先生が、各家庭の込み入った事情に首を突っ込むのはいけないことなのですが、預かる幼い子供たちは家庭が上手くいってなければ、日中の行動や体調にスグに現れるので、美南としても気にせずにはいられません。

 

子供と同じくらい対応が難しいのが保護者です。子供に対しても、保護者に対しても特別扱いは、不平不満のもとになるので気を付けています。美南は気になるバツイチの男性保護者がいるのですが、そのために好意を伝えることはもちろんできません。

 

物語はとても現実的なお話になっています。美南はとても熱心な先生として描かれていますが、超人的な活躍で事件をスッキリ解決するのではなく、事件の当事者たちをそっとアシストして、最悪の結果を回避するのに尽力しています。

 

読み終わって、世の中に順風満帆なんて人はほんの一握りで、ほとんどの人たちは与えられた場所で、不自由を感じながら懸命にいきているんだなぁ、と改めて思いました。私は、無職で何のコミュニティにも属しておらず、認知症の母と暮らしているので、ときどき、

 

「こんな惨めな暮らしを送っているのは自分だけじゃないか?」

 

と思ってしまうことがあるのですが、そんなわけありませんよね。