うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

あずかりやさん

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大山淳子、ポプラ社
☆☆☆
東京の下町の商店街の端っこで、どんな物でも一日百円で預かるお店があります。そこには全盲の青年がいて、様々な事情を抱えた人々が訳ありの物を預けにやって来ます。

 

物語に登場しないお客の中には、はじめから捨てるつもりで物を置いていく人もいて、中には病気の猫を置いていってしまう人もいたらしいのですが、物語に登場する人たちは皆、善良な人ばかりなので安心してください。

 

6つのお話がおさめられていて、6人のお客が登場します。基本、お客は訳ありの物を預けるだけ。店主は全盲なので出歩くことはなく、店番をしているだけです。

 

誰も問題解決のために積極的に行動しないのですが、なぜかお話の最後では悩みが解決してハッピーエンドです。

 

現実世界でも、運がないときは積極的に行動するとかえって事態を悪化させることがあります。そういうときは、じっと我慢して守りに徹している方が良いのですが、この本はそんなことを教えてくれているのかもしれません。

 

そして、この本の魅力は店主の人柄です。とにかく、人の話を聞くのが上手なのです。物を預かるだけでなく、お客さんの心の荷物まで預かってしまう感じなのです。【俺の話を聞け!】って人はたくさんいますが、聞き上手ってなかなかいませんよね。

 

こんな商売が実際に成り立つか自信がありませんが、もしも、この物語に出て来る全盲の青年に話を聞いてもらえるならば、私も何か預けに行ってみたい気持ちになりました。