農ガール、農ライフ

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垣谷美雨祥伝社
☆☆☆
主人公は水沢久美子、32歳。物語は久美子が派遣切りにあって帰宅するところから始まります。ここから、ホームレス一歩手前まで追い詰められるのですが、私は、

 

『これが、アラサー女子のリアルだよねぇ』

 

と思いました。久美子は、簡単に次の仕事が決まるだろうと楽観していたのですが決まらないのです。

 

現実でも、派遣に登録して仕事をまわしてもらえるのは35歳までで、年を取るほど、きれいなオフィスでの仕事はまわってこないのです。日本では、まだまだ、OLは職場の花という考えが根強いんです。

 

久美子は、雇われてお金を手にする生き方を止めようと決意して農業を選ぶのですが、ここで久美子がぶつかる壁がリアルで読み応えがあります。作者が農村の現実をきちんと取材して、裏付けがあるからこそです。

 

私は日ごろ、
Q1)東京の不動産価格はこんなに高いのに、なぜ、みんな東京に出てくるのだろう?
Q2)農業をやりたい若者はいるはずなのに、なぜ、新規就農者が増えないのだろう?

 

と思っているのですが、この本に書かれていることが農村の現実なら、過疎の村は消滅するほかないと思いました。

 

ただ、現実ばかり書いていても物語としてはつまらなくなってしまいますから、ちゃんとミラクルが用意してあります。この辺のくだりは、

 

『運は人が運んでくる』

 

と思っている私にとって受け入れやすいお話でした。

 

私は過労からうつ病になって42歳で自己都合退職してから何度か、田舎に行って農業でもしようかな、と考えたことがあったのですが、何回もミラクルが起きなければ軌道に乗せられない農業に手を出さなくて良かったな、と思いました。久美子のようにお金、コネ、耕作地、農業経験、その他農業を始めるのに必要なモノを一つも持たずに新規就農を考えている人には必読の書です。

 

次々にピンチが久美子を襲うので、私はドキドキしっぱなしでした。おススメです。