極上の孤独

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下重暁子幻冬舎新書
☆☆☆
本のカバーに、下重さんの経歴が書かれています。

 

1936年、裕福な家庭に生まれる。
早稲田大学教育学部卒業。
NHKにアナウンサーとして採用される。
NHKを退社後、民放キャスターを経て、文筆活動に入る。
公益財団法人JKA会長などを歴任。
現在、日本ペンクラブ副会長、日本旅行作家協会会長。

 

『こんな華やかなキャリアを歩んだ人でも孤独に苦しむのかしら?』

 

と不可解な気持ちで読み始めました。

 

この本は5章からなり、私は第一章のみ面白いと感じただけで、あとの章は下重さんのむかし話、または、下重さんの自慢話だと思いました。孤独とは何かを定義した第一章の、

 

【沢山の人に囲まれていながら、誰も自分を見てくれない、声もかけてくれない。目の前の人とつながれない時に感じるのが孤独】

 

というのには感銘を受けましたが、その後は読むのが辛くなりました。しかし、最後まで読まずに感想をブログに書くのはいけないことなので辛抱の末、読破しました。

 

【孤独になって、自己を見つめろ】

 

という趣旨の言葉が頻繁に登場するのですが、下重さんのように華やかなキャリアを積んだ人ならば、自己を見つめてウットリも出来るのでしょうが、社会の底辺で地を這うようにして生きている人たちが自己を見つめてどうなるのでしょう?残念な気持ちになるだけです。

 

私は結婚に一度失敗してからは独身でいるのですが、下重さんは素敵な旦那様と結婚されています。夜遊びして朝帰りしても何も言わず、家事が嫌いな下重さんのために家事を引き受け、三度の食事までご用意してくださるそうです。

 

『そりゃ、結構なことですね』

 

って感じです。

 

ご自宅には下重さん専用の書斎があるそうですが、そこは出版社などの仕事関係者や知人に知られた場所なので、たびたび電話で思索を中断されるのが煩わしいそうです。そのため、都内の眺望の良いマンションを秘密で借りて、そこで孤独を楽しんでいるそうです。つまり、下重さんの推奨する孤独は、孤独に飽きれば、いつでも仕事や知人たちのもとへ帰っていける孤独なのです。

 

今、社会問題になっている孤独は、本人の意思ではなく、運命に流される形で孤独になり、それを解消しようともがいても解決の手段が見つからない人々の孤独だと思うのです。いつも世間から求められ、チヤホヤされ、忙しくされている下重さんから、孤独も素敵です、なんて言われても、

 

『はぁ?』

 

って感じです。

 

共感できた言葉が、第五章のP156にあります。

 

【一人暮らしの経験がないのに、えらそうに孤独など語る資格はないのだが、だからこそ一人時間が大事だと思うのかもしれない】

 

下重さんは、80歳を過ぎるまで生きて、一度も一人暮らしを経験したことがないそうなので、まったくその通りです。

 

『なんで、こんな本を8百円も出して買っちゃったんだろう』

 

と後悔しました。

 

私は、幻冬舎の宣伝に騙されて下重さんの売り上げに貢献してしまいましたが、みなさんは騙されないようにしてくださいね。よくよく考えてみれば、これだけ華やかなキャリアを歩まれた方に孤独の何たるかや、孤独のつらさが分かるわけがありません。