うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

ランチ酒

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原田ひ香、祥伝社
☆☆☆
どちらが先に出版されたのか分からないのだけど、《孤独のグルメ》に少しだけ似ているなぁ、と思いました。

 

孤独のグルメ》が陽なら、こちらは陰です。出張先からの帰り道、一人で勝手に店を選んで、気ままに食事を楽しむというコンセプトは一緒ですが、この物語の主人公は、夜のお仕事で訳ありな人たちと関わり、考え事をしながらシミジミとお酒を飲みます。

 

主人公は、犬森祥子(31)です。バツイチで独身、小学2年生の娘がいますが、娘は元夫が育てていて、一人暮らしです。離婚後に経済的に行き詰り、同郷の友人である亀山太一に拾われて命拾いをし、今は亀山の仕事を手伝っています。

 

亀山の仕事は、見守り業です。夕方から明け方まで、ほったらかしに出来ない何かを見守るのです。たとえば、小さな子供、ペット、認知症の老人などです。

 

祥子は、依頼のあった現場へ行って、見守ることだけが仕事のはずなのですが、夜中に外出しなければならない人たちは、困っているけれど相談できる適当な人や福祉が存在しない人たちなので、行く先々で思いがけない頼み事をしてきます。

 

社長の亀山が、

 

「見守りというあいまいな仕事だからいいんじゃないか、都会に咲くあだ花って感じでさ」

 

と言うシーンがあるのですが、その通りで、たくさんの人が暮らしている東京だからこそ成立するニッチな仕事なのです。

 

みんな色々あるけど、生きていくためには食べていかなきゃ、そして、どうせ食べるなら美味しい物を食べて元気を出そう、という物語です。