うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

終わった人

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内館牧子講談社
☆☆☆
東大法学部を卒業し、メガバンクに就職、49歳まで順調に出世して役員の一歩手前まで出世したけれど情実人事で関連会社に出向を命じられ、そのまま銀行に戻れず定年を迎えた田代壮介(63)が主人公です。

 

壮介は、49歳まで充実したサラリーマン生活を送ったことと、自分の能力に問題があって左遷されたわけではないことの二つが原因で、社会人としては終わったことを素直に受け入れることが出来ません。

 

ここから、壮介の悪あがきとも言える活動が始まります。アスレチックジムやカルチャーセンター、ハローワークなど思いつくかぎり訪ねて行くのですが、東大法学部を卒業し、メガバンクで働いたエリート意識が邪魔してどれも上手くいかないのです。

 

そんな日々の中で、棚から牡丹餅のような幸運を得て就職するのですが、サラリーマン時代に完全燃焼できなかった思いが頭をもたげて、その会社の経営に深く関わることになってしまいます。

 

20歳以上年下の恋人、毒舌だけれど親身になって忠告する娘、自分の人生を生きたい妻、プレイボーイの親戚、様々な境遇を受け入れて生きる高校時代の同窓生たち、などなどが迷走する壮介に影響を与え、壮介の人生は激しく浮き沈みします。

 

はたして、壮介の悪あがきは吉と出るか凶と出るか、それは読んでからのお楽しみということで。

 

そして、最後に紹介しておきたいのがこの本のあとがきです。定年退職した人が読めば9割の人が共感する素晴らしい本編ですが、そのエッセンスともいえるのがあとがきです。もし、この本を手にするのでしたら必ずあとがきも読んでください。