うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

「世界征服」は可能か?

f:id:asuniwanarou:20190204160959j:plain

岡田斗司夫ちくまプリマー新書
☆☆☆
読み始める前、私は、かつて世界征服を目指したアレキサンダー大王、チンギスハン、ナポレオン、ヒトラーなどを評論する本だとばかり思ってました。ずばり、全然違います!

 

研究対象は、【死ね死ね団】、【ショッカー】、【スペクター】などの昭和に人気があった漫画やアニメの悪の秘密結社です。あとがきにこの本を書いた動機が書いてあります。

 

・・・・・
古今東西の漫画・小説・映画・テレビ番組に登場する悪党。なぜその悪党は世界征服できないのか?正義のヒーローがいるからか?
私はいつも、こんなことばかり考えています。大学生ぐらいの時にこういう悩みは卒業するべきなのに、いまだに考え続けています。「世の中の人たちが忙しすぎて考える時間がなくなっちゃったので、代理で考えるのが自分の仕事なんだな」と考え、この本を書きました。
・・・・・

 

岡田さんは、読者が【死ね死ね団】、【ショッカー】、【スペクター】などの昭和に活躍した悪の秘密結社について知識があることを前提に持論を展開しています。このため、この本を勧められるのは昭和30年代後半から昭和40年代前半に生まれた方々です。それ以外の世代の方は、お話についていけません。

 

一部の熱狂的なオタクだけがギャグで読めばよい本なので、結論をここでばらしておきます。

 

結論1)悪の組織を運営するのは難事業です。悪の組織に入隊する人は学校で問題ばかりおこし、ヤクザにもなれなかった人で、ルールを守らなくて、遅刻ばかりする人です。おまけに人殺しが好きな人もたくさんいて、こいつらを組織化するなんて並大抵のことじゃありません。

 

結論2)世界征服が成功しても、その後に待っているのは帝国の経営です。義務ばかり多くて、喜びは少しです。広い帝国では、毎日、何かしら問題が起こります。独裁者であるあなたは常に判断が求められます。癇癪を起して、問題を起こす奴らを皆殺しにしてもいいのですが、そうすると支配する人がいなくなって、せっかくの世界征服が台無しです。

 

結論3)貨幣経済が行き渡り、ネットで誰もが情報の送受信をできる現代では階級はありません。あるのは経済格差だけです。王様しかできないことなんてありません。お金さえあれば、誰でも宇宙旅行できるし、フェラーリの所有者になれるからです。

 

結論4)以上のことから、世界征服して、人類を支配しようなんて割に合いません。

 

これだけ知っておけば、この本を買う必要はありません。