うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

誘拐屋のエチケット

横関大、講談社

☆☆☆

日本では毎年約8万人の人が失踪してしまうそうです。これの人たちは警察に《行方不明者》として捜索願が出ているのですが、この小説では、それらのうち何人かはプロの誘拐屋に誘拐されているとして物語が始まります。

 

主人公は30代の田村健一です。総合格闘技と筋トレで体を鍛えていて、見るからに強そうな男として描かれています。この通称タムケンが活躍する7つのお話がおさめられています。6つのお話で誘拐が行われ、最後のお話でこれまで行われた誘拐にかくされた謎が回収されてスッキリした気持ちで読み終えることができる構成になっています。

 

喧嘩をしたら強そうなタムケンですが、人情家で涙もろい助手がいて、助手が荒っぽいことを嫌がるので、仕事はいつもスマートにこなしています。物語の中では、ハードボイルドなタムケンと涙もろい助手との掛け合いが魅力です。

 

読後にこれと似た漫画を読んだことがあるな、と思っていたのですが、少年ジャンプで連載されていた《シティーハンター》という漫画に似ているなと思いました。非合法なことで生計を立てているのに倫理観があって、同業者からも一目置かれるところなんかそっくりです。

 

人が死ぬ話が嫌いという人もいるかと思います。この本では一人も死人が出ないのもお勧めポイントです。ユーモアのある活劇が読みたい方にお勧めな本です。