日比生典成、メディアワークス文庫
☆☆☆
4つの短編が納められたメルヘン小説です。
善行をした若者の夢枕に狐の姿をした神様が現れ、ご褒美に好きな姿に変身できるお札を授けてくれます。目が覚めたとき、狐の神様はいないのですが、手にはお札が握られていて、主人公たちがお札を使って様々な者に変身します。
それぞれの短編の主人公たちは神様に選ばれるだけあって善良な人たちで、変身できるお札を自分の欲望のためだけには使いません。共通しているのは、主人公たちは若い男性なので、気になっている女の子、あるいは奥さんのためにお札の力を使ってしまうということです。
変身している姿で相手を騙していることに悩む主人公もいるのですが、騙された相手がそのことで傷つくようなシーンはありません。メルヘンチックな恋愛小説が読みたい方にお勧めです。