中田永一、祥伝社
☆☆☆
5つの短編小説が納められた本です。高校生が主人公になっているお話が3つ、大学生が主人公になっているお話が1つ、25歳のフリーターが主人公になっているお話が1つとなっています。
全てのお話に共通しているのは、始まりから中盤にかけてモヤモヤしていた気持ちが終盤に一気に晴れるところです。最後にどんでん返しが待っていると言い換えても良いかもしれません。
私がお勧めなのは《三角形はこわさないでおく》です。男子高生2人と、女子高生1人がおりなす三角関係を扱った物語です。普通、三角関係というとドロドロ、ウジウジしたお話になりがちだと思うのですが、
「三角関係って、こんなに爽やかに書けるんだ!」
と私は感心しました。他が気に入らなくても、この短編だけはぜひ読んで下さい。
明るさを全面に出した本ではありませんが、湿っぽくなるお話は一つもないので、気軽に読める短編集です。