藤田容介、ポプラ文庫
☆☆☆
東京の下町で塗装職人として働く福ちゃんは、上京以来十数年、ボロアパート「福福荘」で暮らしています。ぽっちゃり体型で心優しい福ちゃんは、みんなの人気者です。
福ちゃんは派手な遊びもせず、まじめに働き、趣味と言えば凧を手作りして、上げることくらい。仕事仲間とも明るく交流し、親友といえる友達もいます。なのに、若い女性がとっても苦手です。これには、どうも訳がありそうです。
そんな福ちゃんのアパートに突然、見知らぬ美女が訪ねてきます。ただ、訪ねるだけじゃなく、福ちゃんの顔を見るなり、その場で土下座を始めてしまいました。その様子を見て、福ちゃんも遠い過去の記憶が蘇ります。
いきなり現れて、土下座をしてまで謝罪する美女と福ちゃんの間になにがあったのか、そして福ちゃんは謝罪を受け入れるのか・・・。
たくさんの逆境を耐え、それでも明るく朗らかで、心優しい福ちゃん。読みながら、福ちゃんみたいな人が本当にいたらイイなと思いました。