紫陽花が見頃になりました。
紫陽花が咲くと、高校生のときに若い女性の国語の先生が授業中に話してくれた余談を思い出します。勉強は苦手な私でしたが、余計なことは良く憶えています。
季節は今頃、先生が次のような質問をしました。
「紫陽花の花って、夏になるとどんな姿になっているか知ってる人いる?」
花が咲いているときの植物の姿を憶えている人は多いですが、花が咲いていないときの植物の姿を憶えている人は少ないと思います。私のクラスでも誰も答えられず、
「紫陽花はね、普通の花のように散らずに、ドライフラワーみたいになっちゃうんだよ。」
と教えてくれました。そして、ある国の神話を話してくれたのです。その神話は次のようなものでした。
『神様が花を作ったとき、一番美しいときの姿だけが記憶に残るように、神様は花が盛りを過ぎると散るようにしました。しかし、紫陽花だけは花びらの色を変えるようになったため、そのことを神様が浮気な花とお考えになり、罰として花びらを散らすことを禁じたそうです。』
紫陽花は散る姿さえ美しい桜とは対照的な花ですが、若さを失ってからも何十年も生きなければならない身としては、親しみを感じる花です。