むかし、フランスを旅行したときの話です。
ポン・デュ・ガールというローマ水道の遺跡でぼんやりしていたら、フランス人男性に声をかけられました。
会話の中で分かったのですが、彼は光学技術者で、日本にあるニコンの研究所で働いた経験があり、ニコンのカメラを持っていた私に親しみを感じたらしいのです。
私は古い街並みがそのまま残されている欧州の街が好きで、古い建物をドンドン壊して、統一感がなくなってしまった日本の街を残念に思っているのですが、そのフランス人は
「日本の街はエキサイティングだ。街がいつも新しく作り変えられている。私の街なんか、何百年も前から姿がちっとも変っていなくて退屈だ。活気に溢れる日本が羨ましい。」
と言うんです。
上を見上げると電線だらけで、看板、ネオンで猥雑な感じがする日本の街は美しくはないけど、たしかに活気はあるかもしれません。
この時、人間って、自分が持ってないものに憧れるんだなぁ、としみじみ思ったんですよねぇ。
【となりの芝生は青い】ってことでしょうか。