泉ハナ、祥伝社文庫
☆☆☆
アニメにしか価値を見出せないオタク女子が一流の外資系金融機関で、もしも働いたらどうなるかを書いたお話です。
この物語は終始、ハセガワノブコの目線で話が進んでいくので彼女がどんな人か知ることが重要です。
ノブコは生まれながらのアニメオタクです。日本でアニメライフを満喫していたのに、父親の転勤で中学生からニューヨークで生活することになってしまいます。親戚でアニメオタクの男の子からアニメに関する物を日本から郵送してもらうことでなんとか欲求を満たすノブコでしたが、学校の成績が悪くなればそのライフラインを遮断すると親から脅迫されます。ノブコは必死に勉強し、アメリカの名門大学を卒業します。
アメリカでそのままエリート街道を進むこともできたのですが、「これからは私の好きにさせてもらう!」とばかりに日本に帰国。一流外資系金融機関の秘書として働きはじめ、潤沢になった資金をもとに充実したアニメライフを送って、現在、32歳独身です。
ノブコはアニメに全てを捧げているので、一般人がうらやむことに興味がありません。億万長者とのコネクションや同僚の二枚目アメリカ人エリート男性からの求愛など、アニメを楽しむ時間を奪う障害としか思っていないのです。
普通の人から見れば華麗なる日常も、ノブコからすれば何の価値もないというギャップを楽しむ喜劇です。
静かにアニメライフを楽しみたいだけのノブコが騒動に巻き込まれていく様を楽しんでください。