うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

無花果の実のなるころに

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西條奈加東京創元社
☆☆☆
人が死なないミステリーです。

 

舞台は東京、神楽坂。主人公は男子中学生の望。望は祖母と二人で暮らしています。

 

祖母は粋で気風がイイため近所の人たちから「お蔦さん」と呼ばれ、周りの人たちから頼りにされています。おかげで、お蔦さんが営む履物屋は近所の人たちのたまり場になっていて、いつも誰かがお茶菓子を持ってやって来て話し込んでいます。

 

望はというと、温厚でコミュニケーション能力が高い男の子なので、男子ばかりでなく、女子の友達もたくさんいます。

 

そんな具合に二人して付き合いが多いので、事件に巻き込まれることも多いのです。この本は表題作を含む6つの事件からなる短編集になっています。

 

謎解きはもっぱらお蔦さんが行うのですが、悪さをした人に有無も言わさず罰を与えるようなことはしません。犯行の背景まで推理して、皆が一番幸せになるような落とし所を見つけるのです。いわゆる、【大岡裁き】ってやつです。なので、ミステリーなんだけど全編で心温まる結末を迎えることができます。

 

ミステリーは好きだけど、こわい話は苦手という人にお勧めの本です。