うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

カフェ、はじめます

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岸本葉子中央公論新社
☆☆☆
題名の通り、主人公の和久井いさみ(40代)がカフェを開業するまでを描いた物語です。

 

近所のスーパーへ買い物に出かける途中で、重たい荷物を運ぶのに苦労しているお婆さんをいさみが助けます。荷物をお婆さんの自宅に運び込むため門をくぐるとそこには可愛らしい洋館がありました。

 

いさみは、その土地の前を頻繁に通っていたのですが、庭に植えられた大きな木のせいで敷地の中をうかがうことができなかったため、今まで洋館の存在に気づかなかったのです。

 

お婆さんは体が弱ってしまって、一人で古い洋館に住み続けることが困難になったので、洋館を不動産屋に売却して、子供の世話になることを考えていました。この洋館を不動産屋が手に入れれば、取り壊されて雑居ビルに建て替えられることは必至です。洋館に一目ぼれしたいさみは、洋館を借りてカフェを開業する決意をするのです。

 

古い物がどんどん捨てられて、新しい物に置き換わっていく日常で、寂しさを感じるようになったのは私が歳をとった証拠でしょうか?私は、もうすぐ50歳という年齢になって、昔が懐かしい、使い慣れたものをこれからも使い続けたい、という気持ちが強くなっています。だからなのでしょうが、この物語には若者は一人も出てきません。古い物を大事にしたい年寄りたちの物語なのです。

 

この本の中では、開業後のカフェの様子は描かれていないのですが、こんなカフェが長く存続できる世の中だったらイイなぁ、と思いました。