おざわゆき、講談社
☆☆☆
ヒロインが、なんと８０歳の異色の漫画です。
幸田まり子（８０）は夫に先立たれ、息子夫婦とできちゃった婚で転がり込んできた孫夫婦と４世代同居で一軒家で暮らしています。
家族が増えることは良いことばかりではありません。家が手狭になり、改築する話がまり子さんを除いた家族の間で進むのです。
幸田家はお金持ちではないので、家族全員の希望を盛り込んだ家は建てられません。しかし、誰も自分の希望を取り下げません。こうなると、家族で最も立場の弱い人へとしわ寄せが行くのがお決まりのパターンです。まり子さんは家族から邪魔者扱いを受けてしまいます。
その話し合いの内容を偶然に知った心優しいまり子さんは大いにショックを受けて、家出するのです。
この漫画の要諦は、本のオビに書かれている通り、８０歳で家出したお婆さんに、誰が生きる希望を与えるか、ということだと思います。
前半の日本中で繰り返し行われているだろう家族間の諍いは、リアルで読んでいて暗くなるのですが、家出後のまり子さんには夢のような出会いが用意されています。
まだ１巻なので、これからどんな話になっていくのか楽しみです。私は８０歳のお婆さんを主人公にしたシンデレラストーリーだと思いました。
