うつ病、無職の雑記帳

孤独です。しあわせになりたい。

ハピネスマンション

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高田亮、リンダブックス
☆☆☆
主人公は山城穂並、大学一年生です。

 

穂並は母子家庭で育ちました。母親は恋愛体質で惚れっぽく、次から次へと男を連れて来るのですが、どれもろくでもない男ばかりで長続きしません。

 

恋愛をしているときの母親は穂並に関心がなくなって育児放棄するので、その期間は祖父母の家で暮らしていました。というか、子供時代のほとんどを祖父母の家で暮らしていました。

 

老夫婦は早寝早起きで、テレビは報道番組しか見ないので、穂並もそれに合わせるしかなく、自然と意識の高い、若者らしくない若者になってしまいました。そんな穂並が、夢に胸を膨らませて、東京で大学生として一人暮らしを始める住まいとして選んだのがハピネスマンションです。

 

しかし、暮らし始めて分かったのですが、ハピネスマンションの住人たちは生活保護受給者やその一歩手前の人ばかりで、問題のある人ばかりだったのです。そんな奇人変人の巣窟で管理人のアルバイトを始めた穂並が、混沌としたマンションに秩序をもたらすために奇人変人たちの生活に干渉し、巻き起こる騒動をコミカルに描いた物語です。

 

~私の感想~
世の中には秩序よりもカオスを愛する人もいて、そういった人に援助することは穴の開いた鍋に水を注ぐようなものだと私は思っています。このお話では、奇人変人たちが穂並と関わってまともな人間に更生するわけではなく、穂並が彼らを寛容の心で受け入れて、共に生きていくことを選んで終わるのですが、私はそのラストが現実的でよかったと思いました。